【第1回】価格を上げると売れなくなるは、大きな勘違い = 西尾英樹

【第1回】価格を上げると売れなくなるは、大きな勘違い = 西尾英樹

「同業者より価格を下げないと売れないんですよ…」

 

売上が上がらないと嘆く社長と話をしていると、こんな言葉をよく聞きます。こんな時、僕はいつも次のように問いかけます。

「本当に価格を下げないと売れないんですか?」

 

すると、「はい、そうです。この前も思い切って値上げをしてみたんですが、やっぱり売れなくなってしまいました…。」などと回答が返ってきます。価格競争ではダメだと思って値上げに踏み切ったものの途端に売れなくなり、やっぱり元の価格に戻す。こんなことってよくありますよね。

 

・高くなったから売れなくなったから、今までの価格を維持しなければいけない

・ライバルと同じ価格かそれ以下にしないと売れない

・生き残るためには価格競争は避けれられない

等々…あなたも価格というものに対してこのような考えを持っていないでしょうか?

 

確かに思い切って価格を上げても売れなかったらショックですし、売上を上げるためには元の価格で売らないと、と思うのは経営者としては当然のことと思います。

 

しかし、僕はこういった、価格を上げると売れないという考えに対して「本質を捉えない感情論ですよ」といつも社長さんに伝えています。なぜでしょうか?

 

 

お客様があなたの商品を買わない時に、「高い」とか「お金が無い」という時、それは本当の買わない理由ではなく、表面的な断り文句だからです。

 

 

僕は現在コンサルティング・デザインの会社を経営していますが、会社員時代は住宅関連の業界で仕事をしていました。

多くの人にとって家は人生で一番高い買い物です。安くても2000万、高いと数億円の買い物ですが、この家が「高い」とか「お金が無い」という理由で売れないシーンを僕は知りません。

 

しかし、家を買う人で「お金はあります!」と言って現金一括払いをする人はほとんどいません。むしろお金が無い中で、ローンを組んで住宅を購入します。そして、そのローンを払うために、年2回の海外旅行を年1回にする、旦那さんのお小遣いを毎月2万円削る等々・・・様々な工夫をして資金の捻出をして住宅を購入していますね。

 

 

あなたも、本当に欲しいものが見つかったとき、どうやったらそれが買えるかを真剣に考えませんか?今月買う予定だったものを来月に回す。クレジットカードを使うなど、買うために様々な方法を模索するはずです。

 

そうなんです。人は高くても欲しいものは買うために工夫をするんです。お金がなくても買うのを諦めきれなかったら、それを何とか手に入れようと工夫をしたり、何かを手放したりするという行動をします。

 

 

では、なぜ人生で一番高い買い物である家が、高くても、いまお金が無くても売れるのに、私たちが扱う商品が「高い」「お金が無い」という理由で売れないのでしょうか?

 

ここに人の購買心理の本質が隠れていると僕は考えています。購買心理の根底には、高いから買わない・お金が無いから買わないという理由はないんです。

 

 

僕が起業家として駆け出しの頃は、このことに全く気付けていませんでした。

見込み客の方は「ちょっと今お金が無いから、払えるようになったら連絡します。」という言葉を鵜呑みにして連絡を待っていました。しかし、これまでの経験上、このような言葉を言い残した方がクライアントととして戻ってきた経験は僕にはありません。

 

この人はきっと高いというだろうから、少し価格を下げて提示しようと思って勝手に低額で売ってしまったお客様から「安くしてくれてありがとうございます。その分成果を出します!」と言ってもらえて、他よりも大きな成果を出したという経験も残念ながらありません。

 

でも当時の僕は「なんであのお客様は連絡をくれないんだろう?忙しいのか?」とか、「もう少ししたら連絡が来るんじゃないかな?焦らせちゃいけないからちゃんと待っていよう」などと素直に考えていました。しかし、待てど暮らせどお客様は来ない…。

 

そんなあるとき、知り合いの経営者さんから「たまにはお茶しようよ」と誘われました。ある異業種交流会で出会った経営者さんでいつも親しく話してくれる方なので好意を持っていた方です。その方と新宿にあるあるラウンジでお会いし「最近はどんな仕事しているの?」なんて話から始まって色々話を聞いてもらったのですが、話の途中からその方の会社の商品の話になり、最終的には100万円をコンサルティング商品の提案をされました。

 

当時の僕は、こういった売り方が世の中にあることも知らなかったのでとっても驚きましたが、同時に、どうやってこの場を離れたらいいのか真剣に考えたんですね。その時に出てきた言葉が「〇〇さんの商品すごく素敵ですね!欲しいんですけど本当にいま運転資金とかも無い状況なので、もう少しだけビジネスが好転したら買わせてもらえませんか?」というお話しをして、その場をやり過ごしたんです。

 

そして、そのラウンジを出てた後「あ、良かった、なんとかあの場を離れることができた…」と思ったと同時に、気付いたでんですね。僕が商談をしていた相手もこんな気持ちだったんじゃないか・・・?と。

 

お金が無かったら相手もそれ以上売り込んで来れないからこそ、断るのには一番使いやすい言葉だったんです。だから、自然にその言葉が出てきたんだなと思いました。

 

あなたも同じように売り込まれて困った経験があると思います。少し思い出してみてください。その時はどんな言葉で断ったでしょうか?

そして、同じような言葉を、自分の見込み客から言われていないでしょうか?

 

 

人は断るときに本音は言わない。

 

本当の買わない理由を実際に売り手に伝える人は滅多にいません。そのため、断り文句の常とう手段として「いまお金が無いから…」などが使われるわけです。

 

 

だからこそ、断り文句を鵜吞みにするのではなく、その裏側を推測する力が必要です。

 

そのため、「高い」「お金が無い」などと言われたら、

「あなたの商品は買いたいと思うほどのものではない」

「あなたの商品は価格に見合ったものではない」

「あなたの商品の価値がわからない」

このような理由が根底にあると想定するのが正しい解釈なわけです。

 

 

だからこそ、ここで一度考えてほしいのは、「見込み客があなたの商品を買わなかった本当の理由は何か?」という点です。

あなたはこの問いに対してぱっと答えることができるでしょうか。ここが答えられないようだと、今後売れる商品を開発するというのは難しいでしょう。

 

もちろん、この答えは1つであるはずがありません。僕はいつもクライアントさんには、最低20個は上げてみましょうという提案をしています。あなた会社の商品を買おうとする人、つまり見込み客と呼ばれる人も様々です。買わない理由は決して一つではないからこそ、様々な可能性を想定しておく必要があります。

 

もちろん、買わなかった人全てが、あなたの会社が追うべき見込み客ではありません。市場浸透率100%の商品なんてあり得ませんから、ここで考えるべきは、あなたの会社がターゲットとしている客層で、本来売れるはずだった見込み客が買わなかった理由です。

 

このポイントはすごく大切で、僕は「商品開発とは、見込み客の買わない理由を無くす行為だ」と定義しています。

 

すごくシンプルな表現をすれば、

「確実に売れる状態=買わない理由が見当たらない状態」という公式です。

 

本来成約になるべき顧客を逃すことが無いように、その退路を断つ。その見込み客にとっての買わない理由が無くなれば、必然的にその商品は買うしかなくなります。

 

あなたの会社の商品を買わない見込み客は、どんな理由で買わないのか?

今回は、この回答について様々な視点から考えてみてください。

 

高額商品のセールスデザイナー/先生ビジネスプロデューサー。株式会社プレジャーデサイン代表取締役。1983年神奈川生まれ。神奈川大学経営学部卒。起業家・ベンチャー企業の「顧客獲得力」を高める専門家。キラーコンテンツ開発・WEB集客・セミナー企画など、

総合プロデュースを行っている。競泳のトップアスリートとして、ジュニアオリンピックや日本選手権に出場。大学時代は選手兼コーチとして、後輩の指導も行う。卒業後には、業界大手の建設会社に就職し、28歳で現場責任者となる。その後コンサルタントとして独立。支援したクライアントが3ヵ月で前年比4倍の売上など、成功事例を多数輩出。出版した『30日で人を育てる技術』は、分かりやすいと評判に。年間260回以上セミナー等に登壇し、100名以上の経営者を個別にプロデュースしている。「学びとビジネスチャンスの地位格差をなくし、全国の起業家・ベンチャー企業の価値を成果に変えたい」との信念で日々奔走中。

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