【第3回】ライバルより3倍高くても売れる「違いづくり」の発想
ライバルより価格が高くても「こんな安くやっていただいて良いんですか?」と言われる。こんな状況になったらビジネスはとってもやりやすくなりますよね。前回、第2回のテーマは「ライバルと価格で競争してはいけない」でした。では、価格で競争しないために何をすればいいのか?これが今日のテーマです。
では、一つ質問をします。「あなたの顧客は、あなたの商品のどこに良さを感じて買っているのでしょうか?」少し考えて書き出してみましょう。いかがでしょうか。少し書き出せたでしょうか?この問いかけをすると、よく以下のような回答が返ってきます。
飲食業であれば「美味しいから」「お店の雰囲気がいいから」。製造業であれば「製品の性能がいいから」「製品の質が高いから」。サービス業であれば、「接客が丁寧だから」「痒い所に手が届くから」。士業やコンサル等の先生業であれば、「腕がいいから」「成果が出るから」いかがでしょうか。自分の回答に近いものがあったでしょうか?
僕はこの回答は、半分正解で、半分不正解だと考えています。ではなぜ、半分不正解なのか。それは、見込み客には常に「認識のずれ」があるからです。大切なのは、「見込み客や顧客は、正しく商品を理解していない」という大前提を押さえておくことなんですね。僕が年末年始に見るテレビ番組に、芸能人の舌(味覚)をチェックする番組があります。安い牛肉と、高級和牛を目隠して食べて、どっちが高級品かを充てるゲームで、「グルメ」と呼ばれている芸能人が、安い牛肉の方を選んだりしているシーンを見かけます。
この光景こそ、商品開発の原則を表しているものです。つまり、一部の玄人を除けば、多くの人は味の違いを正しく理解できていないんだということです。「○○産の高級品黒毛和牛です」と書いてあるから、「これは高いものだから、美味しいものだ」と認識をして食べるので「美味しい!!」と言うという人が多いんです。
製品もサービスも一緒です。本当にその道のプロで性能を認識して製品を買っている人も、正しいサービスを学んで「このホテルのサービスは良い!」と言っている人もほとんどいないはずです。一部の玄人の人を除き、「大半の見込み客や顧客は、正しく商品を理解できていない」わけです。では、見込み客や顧客は何をみて「この商品は良いものだ」と考えているのでしょうか?
シンプルに言うと、言葉や写真を介して人「この商品は良いものだ」と感じています。もちろん、食べてみて美味しかった、私はこれが好き!というものもたくさんありますので、全てそうだと言うつもりはありません。しかし、買う前に購買を決める場合というのは、やはり言葉や写真と言った情報が重要で、特に、言葉をしっかりと使いこなすことが、売れる商品をつくる上での肝になると考えています。
同業者を見ていて「あの会社の商品は、うちより品質が劣るのになんであんなに売れてるんだ?」と思う事ありませんか?売れている商品は、売れる言葉を使っている。言い換えれば、売れる言葉を使うことができれば、売れる商品が作れるということです。
こう聞いていると「当たり前じゃないか!」と思う人の方が多いと思いますが、「うちの商品が売れません」「売上が伸びません」という相談を僕が受ける際、大半の経営者さんは、言葉などの見せ方を変える前に、こんなことを考えます。
「仕入れる商品をもっと良いものに変えようと思います」「今度は、この資格を取得しようと思います」「もっとこんなサービスも追加したら売れますかね?」などなど、商品の中身の変更を考えています。または、「ホームページを作り変えようと思っています」「最近はやりのLINE@ってどう思いますか?」「広告ってどうやって運用したらいいですか?」などと、集客の手段の問題と捉えているケースも多くあります。
しかし、そういったクライアントさんの現状把握をすると、98%以上のクライアントさんは「見せ方」が不十分なので、まずはそこから改善し、その後に集客や商品の中身の変更を考えていってもらっています。もともと良いものをもっている会社さんであれば、この言葉を変えるだけで売上が伸びるというのは、よくある話で、つい2週間前にも、商品を変えずに言葉を変えただけで2ヶ月で売上が4倍に伸びた事例もありました。
売上を上げるのも、単価を上げるのも、どちらも言葉を使っていくというところまではOKとして、では、次は、今日のテーマに上げた、ライバルより3倍高くても売れる「違いづくり」について考えていきます。僕は商品企画をする際は、いつも「3倍価値の法則」をクライアントさんにお伝えしています。つまり、提供価格の3倍の価値を感じたら、買う側は「安い!」と感じる心理の事です。10万円の商品を安いと思われるには、30万円以上の価値を感じてもらう。買う側がこれだけの価値を感じられるように、見せ方を捉えていくのが重要です。
では、ここで言う「価値」とは何でしょうか?僕の定義は「未来」です。お客様というのは、商品を買うことによって、買う前の現状にはない、新しい未来を手に入れたいと考えています。食事であれば、お腹が空いた状況から、お腹も心も満たされた未来を手に入れるために、おしゃれなお店に行ったりしますね。ダイエットであれば、太っている現状から、スリムになった未来を手に入れたいと考え買うものです。
ちなみに、僕は、1年前から筋膜リリースという施術を受けるために、2週に1回のペースで通っています。1回、1万8,000円の施術に月に2回行くわけですから、僕は筋膜リリースに1ヶ月、36,000円ものお金を払っています。この話をすると「贅沢ですね」「さすが社長さんですね」と言われますが、別に僕は贅沢をするために通っているわけではないんですね。そうではなく、筋膜リリースに通った後の未来を買っているからです。
1年ほど前の僕は、肩こりや腰痛がひどく、仕事に集中できなかったり、腰が痛くて朝起き上がれないという状況でした。しかし、この筋膜リリースに出会ってからは、2週間のうちに肩こりや腰痛で仕事に支障を出すことが無くなり、常にいい状態で仕事に向かえるようになったんですね。では、肩こりや、それから来る頭痛で仕事のパフォーマンスが下がり、ずっと首を気にしながら頭痛薬を飲みながらなんとか仕事をこなしている状態や、朝起き上がれない状態が解消し、常に仕事に集中できる未来が手に入るとしたら、その価値はいくらでしょうか?
僕たち経営者は、自分自身の生産性が会社の業績や売上に直結する存在だからこそ、僕にとってこの筋膜リリースに通って、いい状態で仕事ができる価値は、月10万円以上のものがあります。だからこそ、僕はオトクだと思っていますし、これからも、ベストコンディションでベストパフォーマンスを出し続けるために通い続けようと考えています。このように、顧客が3倍価値を感じることは、リピート客を作るためにも重要な発想です。
もう一つ、最後にお伝えしたいのは、同様の「商品の3倍価値を、ライバルとの比較の中でも表現する」ということ。あなたの同業者が、1万円で商品を打っていて、あなたが3万円で商品を売りたい場合、そこには2万円の価格差というものが発生します。ということは、この2万円の差を「お得」と思わせるという発想に立ち、2万円の3倍価値、つまり、6万円以上の価値の差を、ライバルとの間で表現できれば売れるということです。
「こんな価値あるものを、この価格で提供してくれるんですか?」と言っていただくためには、この価値の差というものを意識してきましょう。なお、筋膜リリースの事例でお伝えしたような、商品そのものに対しての価値を「絶対価値」といい、ライバルとの比較の上での価値を「相対価値」と表現します。
この絶対価値と相対価値、両方において価値の優位性が伝われば、魅力的になりますので、ぜひ一度、ご自身の商品の価値を、この2つで考え他では得られない価値の言語化を行ってみてください!
本日は以上です。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
高額商品のセールスデザイナー/先生ビジネスプロデューサー。株式会社プレジャーデサイン代表取締役。1983年神奈川生まれ。神奈川大学経営学部卒。起業家・ベンチャー企業の「顧客獲得力」を高める専門家。キラーコンテンツ開発・WEB集客・セミナー企画など、
総合プロデュースを行っている。競泳のトップアスリートとして、ジュニアオリンピックや日本選手権に出場。大学時代は選手兼コーチとして、後輩の指導も行う。卒業後には、業界大手の建設会社に就職し、28歳で現場責任者となる。その後コンサルタントとして独立。支援したクライアントが3ヵ月で前年比4倍の売上など、成功事例を多数輩出。出版した『30日で人を育てる技術』は、分かりやすいと評判に。年間260回以上セミナー等に登壇し、100名以上の経営者を個別にプロデュースしている。「学びとビジネスチャンスの地位格差をなくし、全国の起業家・ベンチャー企業の価値を成果に変えたい」との信念で日々奔走中。
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